本学芸術学部工芸学科刺繍領域の歴史と伝統の中で
培われてきた染織文化財の修復技術とその知見の蓄積を礎石とし、
ファインアート領域における素材研究、色彩学等他領域における研究等を学内横断的に結びつけ、
「染織文化資源研究」の推進を図るとともに、今後の教育へのフィードバック、素材研究、人材育成を行う。
津波被災文化財に実施している国内初の洗浄技術と理論の提示、
地域文化資源の修復等を通じ地域貢献の一翼を担う。
染織文化資源研究所長 / 大﨑綾子
1900年の開学当時より、本学日本刺繍の専攻においては、
多くの専門家を育成してまいりました。
平成に入り、刺繍技術を生かした染織品の保存修復に携わっています。
全国の美術館、博物館の染織文化財や、
各地で行われている祭礼の山車の懸装品の修復を手掛けております。
#01 | 保存修復技術の確立 |
これまで染織資源を洗浄することは稀であったが、大型タピストリーの洗浄、被災染織文化資源の脱塩・脱脂による安定化処理を実践し、その手法を確立し、国内外の研究機関と情報の共有を図る。
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#02 | 染織文化資源における天然染料分析技術確立と体系化 |
本学における長年の色彩学研究の知見に基づき、最新鋭の光学測定手法を用いて非破壊の染料分析研究方法を確立し、染織文化財の保護・展示・文化史的研究に資するとともに、データのアーカイヴ化に向けた技術の蓄積を行う。
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#03 | 技術を伴った研究者の育成 |
将来にわたり修復に携わることを希望する若手研究者を受け入れる。本学が所蔵する染織文化資源を教材に保存修復を担当し、修復技術のレベルアップと染織分野の学術的研究を行う。
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女子美染織コレクションを中心とする
貴重な染織品の素材や色彩、技法、デザインを
制作者の立場から調査研究しています。
#04 | 染織文化資源のひとつである天然顔料についてのサブミクロン・ナノ粒子による応用創作研究 |
天然鉱物資源の枯渇などの問題解決の為にナノ粉砕技術、粒子デザインを利用し対応するとともに、毒性など安全性に問題を持ち染織にも供与される顔料について制作者の立場で使いやすく安全な色材について研究する
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#05 | 失われた染織文化資源関連技術の解明並びに染織材料の非破壊による解明 |
伝承されてきた技術や、伝統染織に携わる技術者の知識や経験をもとにした研究に科学的分析を加え、より客観性をもつ総合的な研究体制を構築、現代では失われた染織技法および素材の解明を行う。
1 染織歴史資料の色彩調査とアーカイヴ化
2 染織文化資源の制作技術と材料の解明
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#06 | 絶滅に瀕する道具や素材の維持開発と供給 |
工芸関係を中心とした後継者不足等により絶滅の危機に瀕する道具の維持と安定供給を計る。また、染織関連の素材のなかで失われてしまった優れた素材の復活を研究する。
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#07 | 無形文化財西ノ内和紙とテキスタイルデザインとの研究・素材開発 |
伝統技法のみで手漉きされた和紙は日本でも貴重な文化財となっている。
その特性を研究し、和紙と布をミックスさせたテキスタイル製品を開発する。
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