#01 保存修復技術の確立

デジタルマイクロスコープを用いた繊維素材の同定
デジタルマイクロスコープを用いた繊維素材の同定
2011年に発災した東日本大震災では、多くの文化財も津波の被害にあいました。本学では、2012年から陸前高田市立博物館所蔵の被災した染織資料の保存修復を行っています。津波を被った資料をそのままにしておくとカビの発生や、繊維の劣化を促進してしまいます。これまで、染織文化財を洗うことは日本の染織品においては稀でしたが、脱塩、脱脂の方法を構築しながら安定化処理を進めています。
大学院「染織品保存修復演習」内 タペストリーの保存処置
大学院「染織品保存修復演習」内 タペストリーの保存処置
また、大学院「染織品保存修復演習」では、本学美術館所蔵のタピスリーの洗浄を行っています。大型の作品であるあるタピスリーは、壁面に掛けて使用されてきているため、長年の汚れが溜り、酸化が促進されています。洗浄を行うことで劣化の速度を緩め、長く後世に伝えることができます。洗浄前後に、2D分光放射輝度計により糸の染料の測定を行い、後補の糸の特定を行うなど、新しい取り組みも行っています。
さらに、国内外における染織文化財関連の研究施設の最先端の設備を調査・見学、また意見交換をかさねて研さんを積み、日本の染織文化財修復の拠点構築を目指します。
染織文化資源保存修復部門
染織文化資源研究部門